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【10/9(金)公開】映画『実りゆく』八木順一朗監督&竹内一希さんインタビュー

 

【10/9(金)公開】映画『実りゆく』八木順一朗監督&竹内一希さんインタビュー

長野県のりんご農家を舞台に父と子の絆を描いた映画『実りゆく』が、10月9日(金)より全国ロードショー。「第3回 MI-CAN 未完成映画予告編映画大賞」(2018年)での堤幸彦賞、MI-CAN男優賞の受賞が話題を呼び、本編の制作が決定した本作の公開に先立ち、普段は”芸能事務所のマネージャー”という異色の経歴を持つ八木順一朗監督と、主人公の実(みのる)を演じたお笑い芸人の竹内一希さんにインタビューを行ってきました! 

 

〜 作品あらすじ 〜

長野県松川町に住む青年・実(みのる)は、りんご農家の跡取りとして父親と2人で農園を切り盛りする傍ら、お笑い芸人になる夢を抱いており、週末になると東京へ通い、お笑いライブに出演していた。父親の願いとりんごに背き、夢に突き進む実の胸の奥にあるのは「母親の死後、笑わなくなった父親を笑顔にしたい」という強い想いだった。笑いに進むのか?りんごを継ぐのか?実の人生のタイムリミットは、刻一刻と迫っていた──。やがて迎える運命の日。実は、想いを、夢を、実らせることができるのか。

 

どうしてりんご農家を舞台にした映画を撮ろうと思ったんですか?

八木監督(以下、八木):僕は普段、芸能事務所タイタンでマネージャーをしているんですが、担当しているタレントさんに松尾アトム前派出所さん(以下、松尾さん)という芸人さんがいて。過去に仕事の関係で松尾さんの実家である長野の松尾農園に行った時、一面に実ったりんごにすごく感銘を受けたんですよ。それに、りんご農家に生まれながらお笑い芸人の道へ進んだ松尾さんの人生ってものすごくドラマチックだと思って。いつか松尾さんの人生をベースにりんごがテーマの映画を撮りたいと思ったんです。

 

主人公・実(みのる)のキャラクターはどのようにして生まれたのか気になります!

八木:作品は松尾さんの人生をモデルにしていますが、主人公の実の性格は松尾さんと全然違います(笑)。実のキャラクターは、主演の竹内君の持っている味みたいなものを膨らませていくうちに、出来上がりましたね。主役は最初から竹内君がいいなと思っていたので、当て書きみたいな感じで作っていった感じです。

 

竹内さんは実を演じてみてどんな印象を受けましたか?

竹内さん(以下、竹内):実と僕は(過ごしてきた人生が)もう真逆の環境で。ずっと東京にいて、実家すら出ておらず、親も大変応援してくれている中で芸人をやっている僕からすると、実の場合は相当根性がないと、ここまで芸人になろうと頑張れないだろうなと感じていて。「本当にすごいやつだなこいつは!」という風に思っていましたね。

 

実は吃音を持っていますが、演じるにあたって工夫した点はありますか

竹内:実際に吃音の方にお会いして、取材させてもらいました。「こういう時に喋れない」とか、「こうだったら喋れる時もあるんだよ」とか。色々と聞かせてもらったお話を演技に活かしていった感じです。

八木演技だけでなく、シーンづくりでもお聞きしたお話を参考にしましたね。劇中に河原で佇んでいる実の所にヒデ*¹と朱美*²がやって来て3人で会話をするというシーンがあるんですけど、最初は実が明美さんに電話をして「ちょっと話を聞いて欲しいんです」っていうのを予定していたんです。だけど、お話を伺った方から「吃音を持っている人は自分から電話することは少ない」と教えてもらって、現在の形に変更しました。

*1 実の兄貴分である若手りんご農家(演:三浦貴大)

*2 劇中でヒデと実が訪れるスナックで働く女性(演:橋本小雪(日本エレキテル連合))

©「実りゆく」製作委員会

 

物語のテーマである「父と子の絆」に込めた思いとは?

八木: 田中要次さん演じる父親と実はどちらもすごく不器用だと思うんです。お互いに相手のことを大事に思っているんですけど、それがうまく表現できなかったり、うまく理解できないがゆえに、ぶつかってしまう。それでも、根っこにあるお互いがお互いを大事に想っているだよ”っていう部分を物語を通して伝えたいと思っていました。

©「実りゆく」製作委員会

 

実と同じく芸人を志す友人・エーマとの関係も、物語に大きく関わっていましたね

八木:本作は親子の愛を描いていく物語ではあるんですけど、それと同時に、「友の大切さ」みたいなものも、僕は日頃感じながら生きてきたりもしていたので。友達の存在って、普段は一番仲が良くて愛くるしいんですけど、何かあると一転して一番憎たらしい存在になるとも思うんです。特に実はピュアでまっすぐな青年なんで、それとちょっと対極というか、実の足を引っ張るような存在としてああいうキャラクターを作りました。そんなエーマとぶつかることで実も変化するし、エーマも変化するしっていう・・・。友情とはどういうものかっていうのも(作品に)込めました。

 

エーマを演じた田中永真さんと竹内さんは「まんじゅう大帝国」でコンビを組んでいますが、お2人の普段の関係性は?

竹内:(実とエーマとは)全然違いますね(笑)。僕らは喧嘩もしたことないですし、声を荒げることもありません。いつもほんとにのんびりとやっているんで、劇中のシーンみたいに胸ぐらをつかんで「おい!」みたいなのは・・・。2人とも「こんなことするかーい!」って心の中で思いながら演じていました(笑)。

©「実りゆく」製作委員会

 

本作では笑いのエッセンスが随所に散りばめられていましたが、やはりこだわられたんでしょうか

八木:芸能事務所のマネージャーとして映画を撮る以上、やっぱり笑いの部分が偽物であってはいけないと思っていて。本物の芸人が芸人を演じる上でも、そこだけは嘘をつかずに、お笑いのもつ空気とかテンポとか、パワーみたいなものを必ず作品の中に込めたかったので、やっぱり笑いの部分はこだわりましたね。

竹内:本編内のネタの多くは「実りゆく」のモデルである松尾アトム前派出所さんのネタでございます(笑)。松尾さんのネタを僕らに作り変えたものをやりました。

 

劇中でりんご農家に代々伝わる「奉納祭」というお祭りが行われますが、あれは元ネタがあるんでしょうか

八木:あれは完全にオリジナルのお祭りです(笑)。農家の人たちは別にそんなこと言わないでしょうけど、りんごって、育てているときの愛情の注がれ方とか、採れた後の扱いなんかを見ていると、やっぱり神聖なものというか、本当に大事にしているものという感じがしたので、りんご農家として一人前になるためにはきっとりんごの神様にあいさつをして、認められなきゃいけないんじゃないかって思ったんです。だから奉納祭を設けて、元服みたいな感じで、一人前の大人にさせるっていう儀式を用意しました。

©「実りゆく」製作委員会

 

ロケ地である長野県松川町での撮影はいかがでしたか

竹内:僕はずっと東京にいた人間なので、とにかく自然に圧倒されていました。空が広くて、山も川もきれいで、夜は真っ暗になる! 東京では体験できない環境だったので、まずはそこに慣れなきゃ!という感じでした。でも自然の中にいるとすごく癒される部分があって「自然って良いな・・・」って、初めて実感しました。今までは東京で「コンビニがいっぱいあった方がいいだろ!」とか思っていたんですけど(笑)。自然に触れることは人間にとってすごく大事なんですね。そこが今回の撮影で僕が一番影響を受けたというか、学べてよかったなって思うところです。

八木:僕も竹内くんと同じ自然っていう意味なんですけど、天気には結構悩まされましたね。9日間ですべてのシーンを撮影しなくちゃいけなくて、天気の予備日もなかったんです。だから、外で撮る予定だったシーンが土砂降りのせいで屋根のあるところで撮ることになったり、その雨が抜けた後に南アルプスの頂上に雪が積もっちゃたりと、さまざまなアクシデントに翻弄されました。だけど(一方で)、それがないと撮れなかった画とか、そういうものもたくさんあって。自然の魅力というか、変化していく自然というものに助けられたという思いもあります。

 

撮影ではモデルの松尾アトム前派出所さんが大活躍されたと伺いました!

八木:はい(笑)。松尾さんが町役場に行って話をつけてくれたりとか、商店街の人たちをまとめたりしてくれて。撮影がうまくいったのも、松尾さんが走り回ってくれたおかげですね。(映画には)全然出ておりませんが(笑)。どこに登場しているか、ぜひ探してみてください。あっ、エンディングにはガッツリ登場していますよ!

竹内:エンドロールまでしっかり観てもらいたいです。『実りゆく』は松尾さんの映画でもあるので、最後にたっぷりと松尾さんの姿で楽しんでいただきたいですね!

八木:結婚もされて、映画も公開ということで、今年は「松尾元年だ」と松尾さん自身もおっしゃっていました(笑)。

 

最後にゴ・バーンの読者にメッセージをお願いします!

八木:物語の舞台は長野県の松川町なんですけど、大都市以外に生まれた方なら誰もが共感できる、夢を追うべきか、地元に残るべきか、親子の関係、友情、そういったものがすべて詰まった映画になっていますので、京都の方々も、舞妓さんでも楽しめる内容になっています。舞妓になるか、東京行くかと悩んだ舞妓さんもきっと共感できると思いますので、ぜひ観ていただければと思います。

竹内:僕が演じた実というリンゴ農家の青年が、芸人になりたいという夢に向かって真っすぐに進んでいく青春映画となっています。劇中には芸人がたくさん登場しますが、すべて本物の芸人が演じており、それらはすべて、何年も芸人を間近で見てきた八木さんが撮った生の芸人の姿です。そうした芸人のリアルみたいなものも見ることができますので、ぜひスクリーンに足を運んでいただいて、観ていただきたいと思います。

 

 

八木順一朗(やぎ じゅんいちろう)/1988年生まれ。岐阜県出身。幼少期に観た怪獣映画の影響で、映画監督を志すようになる。日本大学藝術学部映画学科監督コース卒業後、株式会社タイタンに入社。以降、爆笑問題、橋下徹、辻仁成、太田光代などのマネージャーを務める。 2018年『第3回MI-CAN 未完成映画予告編大賞』で、監督作『実りゆく長野』が堤幸彦賞を受賞、その後本編の制作が決定した。本作が、念願の初監督作品となる。

竹内一希(たけうち かずき)/1994年生まれ。東京都出身。日本大学藝術学部卒業。在学中は日本大学藝術学部落語研究会に所属。 第12/13回全日本落語選手権、「策伝大賞」決勝選出。2016年6月に田中永真と「まんじゅう大帝国」を結成、2017年4月にデビューを果たす。 結成直後の「M-1グランプリ2016」にて、アマチュアながら、3回戦進出を果たし話題を集めた。演技力の高さにも定評があり役者としても活躍中。

 

映画『実りゆく』10月9日(金)よりTOHOシネマズ二条ほか、全国で公開。

監督・脚本/八木順一朗、出演/竹内一希、田中要次、田中永真、橋本小雪、鉢嶺杏奈、島田秀平、小野真弓、三浦貴大、爆笑問題、山本學