1. HOME
  2. 記事一覧
  3. 京焼・清水焼 絵付師・光武みゆきさん

京焼・清水焼 絵付師・光武みゆきさん

京焼・清水焼 絵付師

光武 みゆきさん

みつたけ みゆき。(雅号:丹影)京都市出身。1997年に光華女子短期大学 生活デザイン専攻科を卒業。一般企業への就職後、手仕事によるモノづくりを志し、京都府立陶工高等技術専門校に入学。京焼・清水焼の絵付を学ぶ。2001年に京都有数の窯元である有限会社馬場製陶(京泉窯)に入社。2004年より加藤陶画苑の2代目加藤如水(じょすい)氏へ師事する。その後、自宅での制作活動を開始し、2010年に京都東山三条で陶磁器販売店兼工房 『お揃いの器めおと屋/工房色は匂ゑど』を開店。専門は釉薬をかけた後の器に絵を描いていく上絵付。

 

仕事を通じて絵付師という職業の魅力を伝えていきたい

 

光武さんのこれまでの経歴を教えてください!

子どもの頃からモノづくりが好きで、(将来は)モノを自分で作れるような仕事で生きていけたらいいなと思っていました。ただ、当時から職人を志していたわけではなかったので、自分のしたいことを確かめるために京都光華女子短期大学*¹の生活デザイン学科*²へ進学しました。そこでモノづくりやデザインについて幅広く勉強していくうちに、アーティスティックなモノづくりでなく、人のニーズを叶えるデザイン的なモノづくりへの興味が深まっていきましたね。

*1 現・京都光華女子大学 短期大学部
*2 現・ライフデザイン学科

 

学校卒業後は一度印刷会社に就職したんですが、パソコンを使って業務を行う日々を送るうちに、自分はデジタルではなくアナログ(手仕事)によるモノづくりにこだわっていることを再認識してしまって(笑)。会社を退職し、京都府立陶工高等技術専門校に入学しました。アナログなモノづくりといえば、やはり伝統産業でしたので。祖父が趣味で陶器を蒐集していたことから、(伝統工芸が)自分にとって遠い世界のものという感覚がなかったことも影響していたのかもしれません。

 

 

高専で絵付を学んだ後、2001年に京泉窯*³に就職し、絵付師としてのキャリアがスタートしましたが、この頃の焼物業界はすでに全体的な縮小傾向にあって、従来然とした器の需要は昔と比べて減っていました。“良いモノ”というだけでは売れない時代に入っていたんです。そんな時勢でしたので、若手の私に求められた仕事は現代のニーズに合った新しいデザインを出すことでした。ニーズに合わせてデザインし、手仕事でモノづくりを行う…。図らずも私がしたかったことにすごくマッチしていました(笑)。

*3 料亭で使われる割烹食器などを主に製造している、業界でも有数のブランド力を持つ窯元

 

京泉は3年間働いた後、結婚をきっかけに退職しました。すごくやりがいのある仕事だったんですが、その分ハードな面もあって、家庭と両立させることは難しいと思って。それで、もうちょっと穏やかに働ける場所はないか探していた時に、縁があって今の師匠である2代目加藤如水さんと出会って師事させていただいたんです。師匠からは技術だけでなく、職人としての働き方や後継者の育成など、本当に多くのことを学びました。その後、出産を機に独立し、友人と陶磁器販売店兼工房『お揃いの器めおと屋/工房色は匂ゑど』をオープンして今に至ります。

 

 

どうしてご自身で工房を開こうと思ったんですか。

絵付師の仕事を続けたかったことが一番の理由ですが、女性が職人として働き続けることのモデルケースみたいなものになればいいなという思いもありました。女性にとって結婚や出産は人生のリズムを大きく変化させる出来事で、それまで続けていた仕事を辞める人も多いじゃないですか。それは職人の世界も同じで、技術を持った人が家庭との両立や収入などの面で折り合いがつかず、やめてしまう。それってとても勿体ないことだと思うんです。私自身、出産後も続けるには独立という形じゃないと厳しいと思っていました。それで、同じタイミングで出産した友人と一緒にお店を始めたんです。

 

『お揃いの器めおと屋/工房色は匂ゑど』のコンセプトを教えてください!

オープンした当初は“手に取りやすい”ものを意識していました。清水焼はなんとなく高級なイメージが持たれやすく、興味がない人からすると「きれいだけど、私には関係ないところにあるな」っていう感じのものだと思うんです。私自身、陶器の世界に入る前はそういう印象を持っていました。そんな方にも「あっ可愛いな」とか「使ってみたいな!」って思ってもらえたら、自分たちの作品が(清水焼という世界への)窓口になるんじゃないかと思って。興味を持ってもらえたら、そこからどんどん奥に行ってくださいねっていう(笑)。あとは観光客のお客様も多いので、お土産になる京都らしさのあるものを作ったり…。

 

『めおと屋』という文字を見て、結婚祝いを探しに入ってくる方もいます。屋号の「めおと」は「めおと茶碗」から取っているんですが、それはお茶碗が食卓に欠かせない存在で、家族団らんの象徴だと思っているからです。そんなあったかいひとときに(私たちの作った商品を)使ってもらい、日々の生活を彩って欲しいという願望を込めてつけました(笑)。

 

 

絵付職人という仕事の魅力はなんでしょうか。

一番の魅力はやっぱり、手仕事のモノづくりでお金がもらえるところでしょうか。絵を描いたり、何かを作ったりするのが好きな人ってたくさんいると思うんですけど、それでご飯を食べていくとなると、難しい場合が多い。でも、伝統産業の場合はそれがまだ叶いやすいかなって思うんです。

 

あとは、自分が作ったモノに対して反応が返ってくることも、この仕事の魅力だと思います。特にうちの場合、店舗と工房が仕切りなくつながっているので、お客様の反応を直に見ることができるんですが、やっぱりわくわくするし、「(次は)もっとこうしよう!」ってやる気も出ます。それもすべて、使ってくれる人の顔が見えるからなんでしょうね。

 

 

 

最後に、光武さんの将来の夢を教えてください!

お店をもっと大きくしたいという思いは特にないんですけど、この仕事や作品の魅力を伝えていくためにも、自分たちのことをもっと知ってもらわなきゃいけないなと思っています。どれだけ良いモノを作っても、気づいてもらえなかったら意味がありませんからね。より多くの方に注目してもらえるように、外に向けた発信をどんどん行っていきたいです。Webなどのデジタルな作業も、苦手ですが頑張っています(笑)。

 

あとは、おこがましいことを承知で言うと、絵付師という仕事のイメージを変えたいという想いもあります。陶器の世界ではやっぱり成形(ろくろ師)が花形で、絵付はどちらかというと裏方的な仕事なんです。絵付だって成形に負けないくらい奥の深い世界なんですが、やっぱり外からはわからないじゃないですか。だからこそ、自分たちでこの職種に光を当てたいなと思っていて。自分たちの仕事や活動が注目されて、絵付の仕事に華を感じてもらえるようになれば、すごく嬉しいです。

 

絵付師がろくろ師さんやアーティストさんと同じような扱いになったら、なりたいって人もきっと増えると思うんですよ! 興味を持って、始めてくれたらきっとその魅力が伝わる仕事だと思ってるので。頑張って、若い人たちに興味を持ってもらえるように、どうしたらツボをつくことができるのか、日々考えています(笑)。

 

 


DATE

お揃いの器めおと屋/工房色は匂ゑど

京都府京都市東山区東大路三条下る南西海子町434-5

11:00〜18:00 日曜不定休

TEL:075-531-7930

店舗HPはこちら