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京都シネマスタッフのおすすめ映画レビュー★ vol.4『サラの鍵』

世界には目を凝らさないと出会えないような名作映画がたくさんあります。それはミニシアター系のアート作品だったり、劇場公開されずにパッケージ化された作品(通称:DVDスルー)、あるいはまったく無名の若手監督のデビュー作品だったり…。それらの中から「この作品に出会えてよかった!」とあなたに思ってもらえるような一本が見つかりますように。

 

Vol.4

『サラの鍵』

 

ナチスのユダヤ人迫害は数々の映画になって語り継がれていますが、当時のフランス政府と警察がホロコーストに加担した事実はあまり知られていません。ヨーロッパに根強く残る反ユダヤ主義の問題は複雑に入り組んでいるため、日本人である私たちには理解しづらいところがありますが、映画はその糸口の一つになってくれるかもしれません。

 

今回紹介するのは『サラの鍵』。原作は全世界で300万部突破のベストセラー。1942年・パリでのユダヤ人の悲劇を描くこの社会派人間ドラマは、第23回東京国際映画祭で最優秀監督賞と観客賞をW受賞しました。

 

©2010 – Hugo Productions – Studio 37 – TF1 Droits Audiovisuel – France2 Cinéma

 

~Story~

1942年、ナチス占領下のパリで行われたユダヤ人迫害。それから60年後、ジャーナリストのジュリアは、アウシュビッツに送られた家族について取材するうちに、収容所から逃亡した少女サラについての秘密を知る。サラが自分の弟を守ろうと、納戸に鍵をかけて弟を隠したこと。そして、そのアパートは現在のジュリアのアパートだったこと。時を超え、明らかになった悲しい真実がジュリアの運命を変えていく…。

 

©2010 – Hugo Productions – Studio 37 – TF1 Droits Audiovisuel – France2 Cinéma

 

この作品に限らず、もともと人々は私たちと同じようにごく普通の生活を営んでいます。歴史を知る私たちは、明日もまた同じ日々が続くことを信じて疑わない彼らがもどかしく、「そんなことはいいから早く逃げて!」と声を上げそうになります。

 

©2010 – Hugo Productions – Studio 37 – TF1 Droits Audiovisuel – France2 Cinéma

 

そして世界中のどこにでもあるような家族団らんの風景は無法な闖入者により突如として破られます。でも、自分たちを一人残らず殺し尽くそうとしている者がいるなんて、いったい誰が思いつくでしょう。鍵のかかった納屋と絶滅収容所で起きたことは残酷で、だからこそ忘れてはいけないことだと思います。

 

 

 

Sarah’s Key/2010/フランス映画/111分/監督:ジル・パケ=ブランネール/出演:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、ニエル・アレストリュプ

 

 


 

 

京都シネマで公開中のおすすめ作品

『ヒトラーに盗られたうさぎ』

© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH

 

そして京都シネマでは12月11日(金)より『ヒトラーに盗られたうさぎ』の上映が始まります。「おちゃのじかんにきたとら」で知られる世界的絵本作家ジュディス・カーが少女時代の体験をもとに書いた自伝的小説を、『名もなきアフリカの地で』で第75回アカデミー賞®外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンクが監督しました。ナチス台頭による恐怖政治から逃れるため故郷ベルリンを離れ、スイス・フランス・イギリスへ過酷な亡命生活を強いられることになる9歳の少女アンナの成長物語です。お茶目でたくましいアンナにきっと心を奪われますよ!

 

© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH

 

~Story~

ベルリンに住むアンナは演劇批評家の父を持つ9歳の少女。その父がユダヤ人であったため、彼女はヒトラー政権の台頭を前に故郷ドイツを離れることになる。これがスイス、フランスを経てイギリスへ逃れる過酷な亡命生活の始まりだった…。


© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH

 

物語のテーマから当然のことですが『サラの鍵』や『縞模様のパジャマの少年』など、ナチス・ドイツと子どもを描いた映画は辛くて目を背けたくなるシーンが多いです。しかし本作『ヒトラーに盗られたうさぎ』や、『ジョジョ・ラビット』(こっちにもうさぎが!)などのように、人間の純粋さや、生命力、周囲の人々のやさしさに触れられる作品もたくさんあります。彼らの置かれた状況や、時代は違えど、それは私たちの生きる希望になったり、心を温めてくれると思います。

 

© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH

 

 

When Hitler Stole Pink Rabbit/2019/ドイツ映画/119分/監督:カロリーヌ・リンク/出演:リーヴァ・クリマロフスキ、オリヴァー・マスッチ、カーラ・ジュリ

 

12月11日(金)より京都シネマで公開!

 

 


(文)京都シネマ
中根沙絵さん

tel.075-353-4723

〒600-8411 下京区烏丸通四条下ル西側 COCON烏丸3F

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