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京都シネマスタッフのおすすめ映画レビュー★ vol.5『マダム・イン・ニューヨーク』

世界には目を凝らさないと出会えないような名作映画がたくさんあります。それはミニシアター系のアート作品だったり、劇場公開されずにパッケージ化された作品(通称:DVDスルー)、あるいはまったく無名の若手監督のデビュー作品だったり…。それらの中から「この作品に出会えてよかった!」とあなたに思ってもらえるような一本が見つかりますように。

 

Vol.5

『マダム・イン・ニューヨーク』

 

新しい世界に飛び込むのはいつだって勇気が必要です。年齢を重ねれば重ねるほど、また、自分の責任や役割が大きくなるにつれて、多くの人が役割をただこなすだけの毎日に追われてしまうのではないでしょうか。でも思い切って全く知らない場所に足を踏み込んでみるとそこで、新しい自分(と新しい世界)を発見できるかもしれません。

 

今回紹介するのは『マダム・イン・ニューヨーク』。ド派手なアクションや歌とダンスが満載という、これまでのインド映画=ボリウッドのイメージを覆し、繊細な人間ドラマが世界中の女性から共感を受けてヒットした2012年の作品です。

 

©Eros International Ltd

 

~Story~

シャシは、二人の子どもと夫のために尽くす、ごく普通の主婦。彼女の悩みは、家族の中で自分だけ英語ができないこと。夫や子どもたちにからかわれるたびに、傷ついていた。姪の結婚式の手伝いで一人NYへ旅立つも、英語ができず打ちひしがれてしまう。そんな彼女の目に飛び込んできたのは「4週間で英語が話せる」という英会話学校の広告。仲間とともに英語を学んでいくうちに、夫に頼るだけの主婦から、ひとりの人間としての自信を取り戻していく…。

 

©Eros International Ltd

 

家族にとっては “お母さん” が “お母さん” であることはあまりにも当たり前の事実で、そこに感謝の気持ちや敬意などはほとんど存在しません。主人公のシャシは、コンプレックスだった英会話に挑戦することで、誰かのためではなく自分自身のために再び輝き出します。

 

©Eros International Ltd

 

この映画は配給された経緯も一風変わっています。たまたま赴任先の香港で映画を見た普通のサラリーマンの夫婦が、主婦が尊厳を取り戻していく物語に感銘を受け、個人で買い付けたあと、さまざまな困難を乗り越え1年かけて日本公開にこぎつけたのです。これまた映画のような素敵なお話ですね。

 

©Eros International Ltd

 

 

English Vinglish/2012/インド映画/134分/監督: ガウリ・シンデー/出演: シュリデヴィ、メーディ・ネブー、アミターブ・バッチャン

 

 


 

 

京都シネマで近日公開のおすすめ作品

『ステージ・マザー』

© 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

 

そして京都シネマでは2月26日(金)より『ステージ・マザー』の上映が始まります。ゲイでドラァグクイーンの息子が急死し、彼が経営するバーを相続することになってしまった超保守的な初老の女性が、偏見や恐怖を乗り越え、新しい世界にチャレンジするハートウォーミングな物語です。息子が生きている時には分かり合えなかったという後悔をバネに、奮闘する主人公を一癖も二癖もある個性豊かな面々が支え、時にぶつかり合い、本当の友情と希望を築いていきます。

 

© 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

 

~Story~

ゲイバーを経営する息子が薬物の過剰摂取で急死したことを知ったメイベリン。息子のパートナーでバーの共同経営者であるネイサンを訪ねると、息子が遺言を遺さずに他界したため、バーの経営権がメイベリンに相続されることが判明して…。


© 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

 

トランス女性のドラァグクイーン・チェリー役は、同じくトランス女性の俳優で『タンジェリン』の好演で知られるマイア・テイラーが演じ、“セクシュアリティの違う俳優が性的マイノリティの役を演じる” という昨今の問題も乗り越えているのも見どころのひとつです。

 

© 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

 

南部テキサスの田舎町からサンフランシスコにある世界有数のLGBTQ+コミュニティの拠点、カストロ・ストリートに出てくるのはインドの田舎町からニューヨークに飛び込んだシャシと同じくらい勇気がいることだと思います。ふたりのマダムにエールを送ります!

 

 

 

PG12/Stage Mother/2020/カナダ映画 /93分/監督:トム・フィッツジェラルド/出演:ジャッキー・ウィーヴァー、ルーシー・リュー、エイドリアン・グレニアー、マイア・テイラー

 

2月26日(金)より京都シネマで公開!

 

 


(文)京都シネマ
中根沙絵さん

tel.075-353-4723

〒600-8411 下京区烏丸通四条下ル西側 COCON烏丸3F

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