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スキンケアブランド『kyo-colle』代表・吉見いつみさん

スキンケアブランド
『京コレ kyo-colle』

吉見いつみさん

よしみいつみ。鹿児島県・奄美大島出身、大阪府在住。自身や家族が肌荒れ・乾燥肌などの肌トラブルに悩まされるようになったことをきっかけに独学で石けん作りを始め、自然素材の美容成分を高配合したお肌に優しい無添加石けん「京 MIYAKO」を開発。その後、周囲からの勧めを受け石けんの商品化を決意し、スキンケアブランド『京コレ kyo-colle』を設立。

 

 

手に取った人が喜んでくれる “良いもの” を京都から多くの人に届けたい

 

 

独学から開発をスタートした化粧石けん「京 MIYAKO」の商品化までの道のりを教えてください!

 

私は鹿児島県の奄美大島出身で、大阪へは15年ほど前に引っ越してきたんですが、大阪での生活が続くにつれてアレルギー由来の肌荒れを起こすようになったんです。もともと肌が弱いこともあってか、肌荒れはその後年齢を重ねるごとにひどくなっていきました。

 

主人の方も顔周りや背中のかゆみがひどくなっていって「このままじゃ大変だ!」と思い、食生活に気を配ったり、色々な石けんを試してみたりしたんですけど、なかなか良いものに出会うことができず…。それで「だったら自分で(石けんを)作ろう!」と思い立ったんです。

 

素人の私は石けんの作り方なんて何も知らなかったので、安易ではありますが「食べるものに含まれる(美容)成分なら害もなく、そのまま使えるんじゃないか」と考えて、色々な食材をかたっぱしから原料として使ってみることにしました。(原料の)配合率も、自分が入れたい分だけ「もうちょっと、もうちょっと」なんていう風に調整して(笑) 1年以上試行錯誤を繰り返して、ようやく「これだ!!」というものが出来上がりました。

 

試作をしていてわかったことなんですが、どんな成分(原料)にも適量というものがあって、それ以上はいくら量を増やしても、効果が適量の時とほとんど変わらないんです。成分(原料)の配合率や温度にも適切な条件というものがあり、それが崩れてしまうとたちまちダメになってしまいます。素人なので化学的に説明することはできませんが、“黄金比” みたいで面白いですよね(笑)

 

化粧石けん「京 MIYAKO」。8種の自然素材から抽出した美容成分が約41%配合されている

 

完成後しばらくは自分たちで使ったり、欲しいと言ってくれる知り合いにプレゼントするだけで商品化なんてまったく考えていませんでしたが、ある日友人から石けんの注文が入り「すごく良い石けんだから、絶対商品化した方が良いよ」と熱心に勧められたんです。それで夫に相談してみたら「(この石けんは)乾燥肌、肌荒れトラブルに悩む人たちに喜ばれるよ」と背中を押してくれて。(私たちと)同じ悩みを抱える人たちのお役に少しでも立てたらという思いから、「じゃあ頑張ってみようか」と商品化に向けて動くことになりました。

 

京都ブランドとして立ち上げようと決めたのはこの時です。大阪在住の私にとって京都はすごく上品なイメージがあったので、商品化するなら京都を関連づけたいと思って。京都の知人に相談したところ、京都の良いものを材料に加えようという話になり、原料のうち、蜂蜜とお茶は京都産のものを新たに選定しました。

 

ちなみに『京コレ kyo-colle』というブランド名は、名前を考えていた時に「 “コレ” はどうだろう? “コレ” はどうだろう」とみんなで言っているうちに、「もういっそ『京コレ』にしようか!」という流れで決まりました(笑) “コレ” には「京都の良いものを発信する」ことから “collection” という意味もかかっています。

 

 

次に石けんを製造してくれる工場を探すことになったんですが、ここからは苦労の連続でした…。化粧石けん「京 MIYAKO」の最大の特長は美容成分を約41%*配合していることなんですが、最初に連絡を入れた工場では「その配合率はうちでは難しい。できても精々10~20%です」と言われてしまいました。

*油分に対する純正美容成分の割合

 

自分たちで作った見本も見せたのですが、「このレシピを機械製造で再現するのは難しいと思う」と言われてしまい…。すごくショックだったことを覚えています。その時は「もうダメだ…」と諦めそうになりましたが、気持ちを切り替えて次の候補の工場へすぐに連絡をしました。そこで私たちの思いを一生懸命力説したところ、「出来るかわからないけど、一緒にやってみましょう」と言っていただけて。それからはその工場と文字通り二人三脚で頑張りました。

 

工場での製造準備が進む中、新たな問題も発生します。「京都 MIYAKO」の原料のひとつである「奄美モズク」が化粧品の原料として登録されていなかったのです。そのため成分表示に奄美モズクを使用するべく、司法書士さんの力を借りながら国際命名委員会と日本化粧品工業連合会に登録申請を行いました。この頃は商品開発の大変さを日々実感していましたね(笑)

 

その後、時間はかかりましたが、何とかINCI名*の登録が完了し、工場での製造にも成功しました。試作品のモニターテストの結果も上々で、「いよいよ販売することができる!」思った矢先、再びトラブルが起こります。なんと、生産を委託した工場が閉鎖することになりました…。

*化粧品成分の国際共通表示名称

 

再び工場を探す羽目になり、さすがに「もう完成しないかもしれない」と弱気になりましたが、仲間や知人からの励ましもあり、諦めずに探し続けたことで、現在お世話になっている工場と出会うことができました。本当に紆余曲折ありましたが、自分たちの思う形で商品化することができて本当に良かったです。

 

 

 

吉見さんが大切にしている、ものづくりに対するこだわりとはなんでしょうか?

 

『京コレ kyo-colle』では “京都の良いもの” をコンセプトにものづくりを行っていますが、良いものの選定を京都だけに限定しているわけではありません。だって(京都に限らず)日本には、まだまだ “知る人ぞ知る” 良いものがたくさんあるじゃないですか。私たちはそれを探し出し、(良いもの同士を)組み合わせ、より良い商品にした上で皆さんに届けたいと思っています。京都の良いものと他地域の良いものをコラボさせて、(商品を)手に取った方に「(日本には)こんな(良い)ものがあったんだ!」と喜んでもらいたいです。

 

だから、ものづくりにおいてはどんなものでも自分の目で必ず確かめるようにしています。自分が良いと思うものじゃないと、自信を持って人に薦めることはできないので。試作をしている時も、納得いくものができるまでは決して先に進みません。それで周りを困らせてしまうことも多いですが…(笑) どんな些細なことでも妥協しない=諦めないことが、私のものづくりに対する一番のこだわりなんだと思います。

 

実際、石けんの試作中、工場の方から「普通は(製造)コストを少しでも下げて欲しいと頼まれますが、あなたは(コストがかかってもいいから)品質を下げないでくれと言う。商売の視点から見たら、こんな(利益の薄い)商品はどこも作らないと思います」と言われました。だけど私は「(たとえ1回の利益が薄くても)一度使ったらきっと気に入っていただけるはず」と考えているので、これからも今のやり方で頑張っていきたいです。

 

化粧石けん「京 MIYAKO」の原料製造の様子。京都産のお茶・蜂蜜、奄美モズク等8つの自然素材から美容成分を抽出・配合するこの作業は、微妙な調整が不可欠なため現在も吉見さん自ら行っている

 

 

最後に吉見さんの将来の夢を教えてください!

 

現在の商品ラインナップは化粧石けん「京 MIYAKO」だけですが、今後は石けん以外の商品も展開していきたいと考えています。今企画しているのは石けんにセットで付けるタオルの製作で、石けんと同じように品質を吟味し、生産者の方とお話しながら、自信を持って販売できる “良いもの” を用意したいですね。

 

この「良いものを作りたい」という思いの根底には、石けん商品化の背中を押してくれた夫の「この石けんは(きっと)たくさんの人に喜んでもらえるよ」という言葉があります。夫のこの言葉から私たちの取り組みは始まったんです。だから、納得のいく良いものを届けて、手に取った人たちに喜んでもらうことが私たちの一番の目標(夢)となりました。

 

まだまだ力不足ではありますが、ものづくりを通して一人でも多くの方の幸せのお手伝いができるように、これからも頑張っていきたいです。

 

 


 

【INFORMATION】

 

● 京コレ kyo-colle

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