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京都シネマスタッフのおすすめ映画レビュー★ vol.7『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

世界には目を凝らさないと出会えないような名作映画がたくさんあります。それはミニシアター系のアート作品だったり、劇場公開されずにパッケージ化された作品(通称:DVDスルー)、あるいはまったく無名の若手監督のデビュー作品だったり…。それらの中から「この作品に出会えてよかった!」とあなたに思ってもらえるような一本が見つかりますように。

 

Vol.7

『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』

 

世の中から遠く切り離された辺鄙(へんぴ)な場所で、隠れるように暮らす人々。それは少し歩けばコンビニがあり、深夜どれだけ夜が遅くなっても自動販売機の明かりが灯る、そんな生活をしている私たちからはちょっと想像もつかないことなんですが、もちろんそこでしか手に入らないものがあり、穏やかで優しい時間の中で物語が物語られていくのではないでしょうか。

 

 

今回紹介するのはカナダで最も有名な画家モード・ルイスと夫エベレットの夫婦の絆を描き、世界の映画祭で観客賞を受賞した『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』。

 

 

わずか4メートル四方の家で絵を描きながら暮らすモードを、『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー主演女優賞にノミネートされた実力派サリー・ホーキンス。妻への愛と尊敬の念を無骨に隠すエベレットに、『6才のボクが、大人になるまで。』などでアカデミー賞ノミネート常連組のイーサン・ホークが好演しています。

 

©︎2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

 

 

~Story~

 

カナダの小さな港町で叔母と暮らすモードは、絵を描くことと自由を愛していた。ある日モードは、魚の行商を営むエベレットが家政婦募集中と知り、自立のため、住み込みの家政婦になろうと決意する。幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードと、孤児院育ちで学もなく、生きるのに精一杯のエベレット。はみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだったが、徐々に2人は心を通わせ、やがて結婚。 一方、モードの絵を一目見て才能を見抜いたエベレットの顧客サンドラは、彼女に絵の創作を依頼。モードは期待に応えようと、夢中で筆を動かし始める。そんな彼女を不器用に応援するエベレット。いつしかモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来て……。

 

 

©︎2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

 

はじめは粗野で芸術などに興味がないようなエベレットの振る舞いにどきりとさせられますが、すぐにモードに対する深い愛が垣間見られるように。エベレットは私たちの目にはとても不器用で、偏屈に写りますが、それはモードも同じでふたりは強い絆で結ばれているのだということがわかってきます。

 

 

©︎2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

 

自然の厳しい港町で育まれる一風変わった夫婦の愛は、彼らにしかわからないとてもチャーミングな共通言語のようです。

 

 

©︎2016 Small Shack Productions Inc. / Painted House Films Inc. / Parallel Films (Maudie) Ltd.

 

主演のイーサン・ホークはインタビューで「大人の恋愛を描いた作品は本当に少ない。これは過去にない美しいラブストーリーだ。この素晴らしい夫婦の物語を世に広めたいと思った。」と語っています。その言葉通り、観た人に深い余韻を残す本当に素敵な作品です。

 

 

Maudie/2016/カナダ、アイルランド合作映画/116分/監督:アシュリング・ウォルシュ/出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、ガブリエル・ローズ

 

 


 

 

京都シネマで近日公開のおすすめ作品

『やすらぎの森』

© 2019 – les films insiders inc. – une filiale des films OUTSIDERS inc.

 

そしてこのあと京都シネマでは6月18日(金)より、『やすらぎの森』が公開されます。カナダ、ケベック州の人里離れた深い森を舞台に、新しい出逢いと湖畔での穏やかな共同生活。80代の男女を主人公に迎え、人生の晩年をいかに生きるかというテーマを詩情豊かに綴る、愛と再生の物語です。

 

© 2019 – les films insiders inc. – une filiale des films OUTSIDERS inc.

 

 

~Story~

 

カナダ・ケベック州、人里離れた深い森。湖のほとりにたたずむ小屋で、年老いた3人の男性が愛犬たちと一緒に静かな暮らしを営んでいた。それぞれの理由で社会に背を向け、世捨て人となった彼らの前に、思いがけない来訪者が現れる。その80歳の女性ジェルトルードは、少女時代に不当な措置によって精神科療養所に入れられ、60年以上も外界と隔絶した生活を強いられていたのだった。世捨て人たちに受け入れられたジェルトルードは、マリー・デネージュという新たな名前で新たな人生を踏み出し、澄みきった空気を吸い込みながら、日に日に活力を取り戻していく。しかし、その穏やかで温かな森の日常を揺るがす緊急事態が巻き起こり、彼らは重大な決断を迫られていくのだった…。

 


© 2019 – les films insiders inc. – une filiale des films OUTSIDERS inc.

 

カナダ10州の中で最も広大な面積を誇り、フランス語を公用語とするケベックは、グザヴィエ・ドランやドゥニ・ヴィルヌーヴら、世界的なフィルムメーカーを輩出してきました。

 

 

この映画も、ケベック州アビティビ在住の作家ジョスリーヌ・ソシエのフランコフォニー五大陸賞を受賞した原作小説に感銘を受けた、ケベック出身のルイーズ・アルシャンボーが監督を務め、主演に金髪とクラシックな美貌を持つがゆえに、“ケベックのカトリーヌ・ドヌーヴ” とも呼ばれたアンドレ・ラシャペル、レミー・ジラールらカナダの名優、ケベックの才能が集結しています。

 

 

© 2019 – les films insiders inc. – une filiale des films OUTSIDERS inc.

 

登場人物の息づかいや自然の鼓動までも伝わってくる繊細な世界観、みずみずしく紡ぎあげられた映像世界をご堪能ください。

 

 

 

 

Il pleuvait des oiseaux/2019/カナダ映画/126分/監督:ルイーズ・アルシャンボー/出演:アンドレ・ラシャペル、ジルベール・スィコット、レミー・ジラール

 

6月18日(金)より京都シネマで公開!

 

 

 

 

(文)京都シネマ 中根沙絵さん

 

 

tel.075-353-4723

〒600-8411 下京区烏丸通四条下ル西側 COCON烏丸3F

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