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2019.5.7映画

映画『僕に、会いたかった』インタビュー

ある事故をきっかけに記憶を失い、漁に出られなくなった元漁師の徹。
苦悩する彼を見守る母や島の人々、島にやってくる「島留学」の学生たち。
島の人々とのふれあいの中で、徹は自分自信を見つけることができるのかー。

 

 

家族の絆と再生を描いた人間ドラマ『僕に、会いたかった』
5月10日(金)からの公開を前に、監督・脚本の錦織良成監督、出演と共同脚本を手がけた秋山真太郎さんにお話をうかがうことができました。

 

 

 

今回の映画では、TAKAHIROさんが今までとは印象が違う役をやられていますけど、いかがでしたか。

 

錦織良成監督(以下、錦織):
TAKAHIROさんに印象が違う役をやらせようというのは(EXILEの)HIROさんからのアイデアだったんですけど、それはいいなと思いました。
本業が俳優だったら「ふだんのイメージと違いますね」という質問はでないはずなので、彼がこれから真剣に役者をやっていくという、フラットな目でみんなに見てもらえるような作品にしたいというのがありました。
これからいろんな役をやって「俳優TAKAHIRO」になっていけば、そういう質問はなくなっていくと思うんですね。
そういう意味での最初のチャレンジとしては、たいへん難しい役をやっていただきました。
ワーッと叫んだり、アウトローだったり、殺人者だったりという非日常的でエキセントリックな感情をあらわにする役だったら、それも難しくて簡単ではないんですが、今回の役ではさらにその先をいく「感情をあらわにしない」「記憶を失くして悩んでいる」「けれどもみんなに優しくしてもらってどうしていいかわからない」「あまり喋らない」という、俳優の表現としてはいろんなものを削ぎ落とした役になったんですけど、結果としてはいい意味で期待を裏切るものになりました。
EXILEだったら今の日本映画の潮流になるような作品になるんじゃないかという先入観もあるかと思いますが、今回はそのイメージとは違う、我々のチャレンジが伝わればいいなという思いで作りました。

 

今回の映画は「島留学」がキーとなっていますが、「島留学」を映画に取り入れようと思われた理由を教えてください。

 

錦織:
もともと「島留学」でなにか撮ろうとHIROさんと話してたんです。
舞台は島根の隠岐島ですが、TAKAHIROさんや秋山さんの出身地である長崎にも同じような制度があります。
島根には残っているものが多くて、旅行で来られてもなかなか隠岐まで足をのばす人はいないと思いますけど、知られざる島ですよね。
すごいところですよ。

 

秋山真太郎(以下、秋山):
それこそ「コンビニもない」というセリフがありましたけど、みなさんお店が閉まる夜7時、8時にはお買い物をすませなきゃいけない。

 

錦織:
本当に必要なものだったら夜11時でも叩き起こしたら買えるんですけど(笑)
そういう意味ではコンビニエンスなんです(笑)。
どうしても必要なものってないんですよ、本当は。

 

秋山:
「お醤油かして」っていう文化もコンビニエンスどころかテイクフリーですもんね。
そう考えるとコンビニより価値がある。

 

錦織:
コンビニエンスって本当は「便利」という意味ですけど、そういう意味ではコンビニエンスですね。

 

映画の中で、倒れたときに周りの人がすぐに病院に連れていくというシーンがありました。

 

錦織:
あれはリアルです。
この島の先生は有名な方で、島の医療は最先端をいってます。
島については先入観があるかもしれないですけど、意外とみなさん洗練されてるというか、最先端な感じですよね。
みなさん自然で普通にしてるけどかっこいいというか。

 

秋山:
映画ではドラマ性をもたせないといけないんで悩みや葛藤があるというふうにキャラクターを作っていくんですけど、島留学の子たちを実際に取材させてもらうと、もう明確に自分の将来のビジョンがあるし、とても16歳とは思えないような受け答えなんです。
「コンビニもないし、暇じゃない?」て聞いたら、
「全然。めっちゃ忙しい」て言うんですよ。
「偏差値ってあがってるの?」
「下がっちゃった」って(笑)
「やばいじゃん」と言ったら、
「全然やばくないです。だって僕はふだんの勉強ではできない地域学をここで学べているので、推薦入試でそれをプレゼンできて有利なんです」と。しっかりしてるんです。

学校の中はiPadが完備されてて、フリースペースがあってそこはスカイプで外国とつながってるんですよ。
外国の先生もいたし、スカイプで英会話を現地の人とやっている。本当に最先端だと思いました。
みんな人間性がすばらしかったですね。

 

錦織:
「人間の豊かさとはなにか」とか、「本来の人生の幸せってなんだろう」っていったときに、
それがわかってる子たちがいっぱいいたということが、ちょっと驚きですね。
教室なんかも壁が白くて、そこに隣の教室が映るんです。CMで見るようなことを、リアルにやってるんです。
それを入れると映画がわけわからなくなるんで、映画の中には出てきませんけど(笑)。
今はネットの中で流れてる情報にプラスして、アナログって重要ですよね。
情報だけでなく実際に肌で感じないといけない。そこがセットになってますね。

 

秋山:
これから地方がどうのこうのって関係がなくなっていくと思います。
むしろ地方にいるから学べること、体験できることがアドバンテージとなって出てくる。
その意味でこの隠岐島は最先端だと思います。

 

錦織:
医療もそうですね。
島には内科の先生しかいないんですよ。
先生がネットで患部を見せて、外科の手術が必要となると、ドクターヘリがすぐに飛んでくる。
それ以外のことは内科の先生が全部やっていて、誰がここにきても医療ができるようにしようとしています。
とにかく考え方が最先端で、これからはネットワークによって距離が縮まった分だけ、オリジナリティが大事になってきますよね。
そのときに、ローカルの知られざるところこそ最先端なんですよ。
だって世界の人はそこを見たいわけで、そこにビジネスのチャンスがあったり、人間の普遍的なつながりや大事なシステムが本当は残っていると思います。
この島留学の話と、主人公が記憶を失って人生をさまよっていることを、どうやってリンクさせて若い人にも理屈じゃなく感じてもらえる映画にするかっていう所に時間がかかって、脚本を何回も書き直しました。
これがチャレンジでしたね。

 

何度も書き直されたところっていうのはどういうところですか。

 

錦織:
やっぱり過去の秘密の部分です。それから徹の感情の揺らぎですね。
こういうセリフのない部分の表現は、最終的には僕とカメラマンとで表現していかなければいけないんですが、文字で描けない行間をどうするのか、という疑問のぶつけ合いというところに時間がかかりましたね。

 

秋山:
いちばん印象に残っているのは、板垣瑞生くん演じる雄一が、東京からやってきたお母さんに自分の思いを吐露するシーンがあるんですが、そのシーンを入れたいんだっていう監督のすごく強い思いがあって、どんなセリフで雄一の思いを伝えるのがベストなのかという部分で、セリフを何回も書き直しました。

 

錦織:
だからセリフが伸びたり縮んだり(笑)。
でもあのシーンは入れたかったんです。

 

秋山:
無駄なくしゃべらせたいし、でもそれだと通じないし、かといってあまりにも崇高なことを高校生が言いすぎるのも変だし、でもどこかにそういうこともはらんでいてほしいっていう思いもありました。

 

錦織:
話の枝葉がたくさん増えすぎるのはセオリーとしては非常に危険なんですけど、
他の子ども達の話があるからこそ、全体として徹のまわりの島の人々が見えてくるような、その人たちの背景も見えるように描きたいというのがありました。
僕が今まで作ってきた映画でも、主人公以外の人たちを描きすぎとよく叱られるんですけど、こういう映画があってもいいと思っています。
一つのことだけじゃなくて多様にいろんなことを知ったうえでなにかをつかむような、徹だけじゃなくてちゃんと他のキャラクターも生きているように描きたかったので、あのシーンはよかったですね。

 

秋山:
徹にもあのシーンのセリフは作用してますし、徹がなにか昔を思い出すきっかけをつかんでいるのかというのにも作用するし、ひとつのセリフがいろんなキャラクターに作用しているとてもいいシーンだと思います。
瑞生くんの芝居もとてもよかったですよね。みんな泣いてて。

 

錦織:
リハーサルからみんな泣きすぎちゃったんで、1回抑えないといけないぐらい、みんな感受性豊かなんです。
高校生たちはオーディションで選んだんですけど、みんな役者にとって必要なものをつかんでいる。
時代がどんなに進んでネットで顔が見えなかったりしても、大切なものは変わってないと思うんですよ。
若い人の本当の情っていうのはネットであろうと手紙であろうと本質は変わっていないと僕は思っていて、そういうところの機微は一緒だと思うんです。
だから、今回の映画は若い人ほどわかるんじゃないかって、これが我々の合言葉なんです。

 

秋山:
実際に先行上映会をやらせていただいて、若い人たちがすごく号泣されてて、
しっかり響いてくれてるなっていう印象を持ちました。

 

錦織:
それは嬉しいですね。
嬉しいなと思うけど、映画関係者はおじさんが多いんですよ(笑)。
おじさんたちが泣いてるから、これはおじさんにもいけるんだなと。

 

秋山:
若い人たちの、

「すごく感動した」「お父さんお母さんにも観てほしい」

という反応がありました。

 

錦織:
嬉しいですね。
それは狙いどおりで、「TAKAHIROさんや秋山さんがやるものはこういう作品だ」という先入観を持っている人にも、「そうじゃないんで、だから観てよ」って(笑)。
先入観を持っている人たちにこそ観てほしい。
みんなに観てもらって育ててもらわないと、世の中わかりやすいものばっかりになっちゃうんで、映画館で観てアナログの良さとデジタルの良さを感じてほしいんですよね。
隠岐島がまさにそういう所なんですよ。
すごく最先端で、それでいて大切なアナログを守っている。
昔から外国人がたくさん入ってきている所なんですけど、外国の方もたくさんいて、本当はものすごくグローバルな土壌がある。
島根っていうとローカルなイメージですけど、オープンマインドで閉塞感がないんですよ。
この島はとくにそうですよね。

 

秋山:
みなさん本当にやさしくしていただいて。

 

錦織:
それが役者さんだからとか、そういうんじゃないんですよ。
秋山さんは島の人にとてもモテてましたね。

 

秋山:
子どももかわいくてね。

 

錦織:
本当に人と人との距離が近いんですけど、みんな格好つけないで生きてるんですよ。
これってけっこう最先端ですよ。

 

 

 

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隠岐島の壮大な自然を舞台に描かれる、心に迫る人間ドラマ。

映画『僕に、会いたかった』は、京都ではTOHOシネマズ二条で5月10日(金)より公開。

 

 

 

  

『僕に、会いたかった』

2019年5月10日(金)

TOHOシネマズ二条ほか全国公開

監督・脚本/錦織良成

出演/TAKAHIRO、山口まゆ、秋山真太郎、松坂慶子

https://bokuai.jp

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