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2017.9.15トピック

革の持つ迫力を、より親しみやすく、楽しみやすく。
株式会社 枡儀 cotoの新レーベル、
「セカンドエフォート」にかける想い。

情報誌go baaan・web版独自の企画として、各方面のクラフトマンシップ溢れる方々を訪ねるこの企画。

今回は京都を拠点に自社企画によるオリジナルハンドバッグ&革製品の製造をされている株式会社枡儀の常務でありデザイナーでもある坂本恭敏氏の仕事場にお伺いしました。

坂本氏は株式会社枡儀の自社ブランド「coto」にて新たに立ち上げられたメンズレーベルSecond Effort(セカンドエフォート)のプロダクトマネージャーを務められています。

そんな坂本氏に革製品の魅力、ご自身のクリエーター、デザイナーとしての取り組みや作り出し生み出すものへの想いをお伺いしました。

 

 

革との出会い。自身の感じた感動をデザインに込めて。

 

ーー 

このたびは取材へのご対応ありがとうございます。

このコーナーは、単に手作りをされているとか、伝統工芸に従事されてるからとかいう理由だけで取材対象を決めさせていただいているのではなく、下調べの段階で取り組みの面白さとかモノづくりに対する想いなどがきっと記事を読んでくださってる方にも響くだろうな、という印象を受けた方に取材をお願いしています。

ですので、今回も面白い話がお聞きできるのでは?と思っています!

ーー

さっそくですが、坂本さんの革製品のクリエーター、クラフトマンの経歴としては枡儀さんに入社されて初めて取り組まれたことなのですか?それとも以前からバックボーンがあってのことなのでしょうか?

 

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坂本さん(以下敬称略)

私の仕事は、製品のモノ自体を作る(生産する)というよりは、デザインが仕事です。

そのデザインについても以前からやっていたということではないんです。

それでなぜデザインをするようになったかというと、ハンドバッグを扱うこの会社に入って、商品に割と年配の方が持つバッグが多いなと思ったんですね。と言うのも、爬虫類革系のバッグが多くて、高額なのでやはり買われる方が年配の方だったんです。

でもワニ革などは素材として非常に面白いので、これを若い人でも持てるようなデザインにすれば面白いものが出来るんじゃないか、というようなことをずっと考えていて、いつか自分が考えたものが商品になればいいなと思っていました。2000年ぐらいにそれに具体的に取り組み始めて、それから自分でサンプルが作れれば、平面のデザイン画を見せていたものが、今度は立体で見せることができるのでもっと伝わるんじゃないかと自己流でサンプル作りにも取り組みはじめました。

最初は手縫いで紙で作り、それからスライサーといってナイロンのようなものや余った革でサンプルを作り出しました。実際はデザイナーなんですが、職人さんに説明するためにそういったものが作れるようになっていきました。

 

ーー

そうやって職人さんにサンプルを提示するという仕事の流れは坂本さんが敷かれたワークフローだと思うのですが、そのサンプルの作り方も特に教わったわけではなく、完全に自己流なのですか?

 

坂本

そうですね。職人さんは沢山いらっしゃるんですが、それぞれ仕事をされていて忙しいのでなかなか教えてくれとは言えないですので見よう見まねで・・・。そして実際の商品の形状をよく見て、ここはどういう作りになっているのか、とかを見ながら勉強していきました。

 

ーー

先ほどのお話の中で「素材の持つ面白さ」ということがあったのですが、例えばセカンドエフォートで展開されているウォレットはクロコダイルですが、クロコダイルにはどういった素材の面白さがありますか?

 

坂本

そこの感じ方は人それぞれなんですが、私が初めてワニ革を見たのは実はすごく大きなワニのものだったんです。野生のものと言われていて、実際に何年生きたかわからないのですが、おそらく20年とか30年のものだったのですが、そのワニ革を見た時に、とにかく大きなワニのものだったので、その大きなウロコをみて、すごい迫力を感じました。ただ、普段よく見るワニ革は、もっと小さなものでキレイでウロコの粒が揃っているようなものなんです。でも、そういうものではなくて不揃いのもの、大きくなってウロコの部分が変形しているようなもの、年輪を感じるような素材を、できればカジュアルに持てるようなアイテムがあればなと思ったんですね。

 

ーー

なるほど、私は御社ホームページムービーを見せていただいたのですが、そのムービー中で坂本さんが仰っていた、アイテムの左右でウロコの大きさが不揃いであったりとか、ウロコの溝の部分の深さについてもお話されていましたが、こういった要素というのは、やはりクラフトマン、デザイナー目線では面白い要素なんですか?

 

坂本

いや、面白いですね。やっぱり同じものはないですものね。

それと自然な革素材はあまり上から押さえたりといった加工をしていないので、(製品にして)使えばどんどん変わってくるんですよね。使う人の使い方によっても変わるので、そのあたりは魅力的ですね。

 

ーー

それでは、作り手としては素材そのものの面白さと、あとは使い手さんの使い方による変化にも期待されているんですね。

 

坂本

どちらかというと使い方による変化のほうに面白みを感じてますね。

「使ったモノ」っていうのが好きなんですよ。もともと革が好きになったキッカケというのが、割と幼い時に革の匂いとか、革のジャンパーとか革靴とかいうものを見て、どこか大人っぽい印象を感じたことがあったんです。匂いもそうですが革製品は擦れるとキュッキュと音がして、それに威厳を感じたというか、そういう印象が残っているんです。

ですので新しいモノを作っていて、「これって使っていけばどう変わっていくんだろう」とかいうことばかり考えているところがありますね。

使い込んでよくなっていくものって色々とあると思うのですが、革はそういったイメージが強いです。昔の人が「革は使い込んでいったら良くなる」って言っている意味が実際に作ったり、そういうアイテムを所有するとよくわかります。

 

ーー

さきほどお話に出したホームページの動画の中で、坂本さんが鉛筆でデザイン画を描かれているシーンがあるのですが、デザインスケッチを起こされている時点で、すでに使い込んだ先の風合いの変化とかがイメージされたりするのですか?

 

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坂本

このアイテムを持って外に出掛けたら楽しいことがあるとか、持ってることで勇気づけられるとか、言葉は少しおかしいかも知れませんが毎日を楽しくする「武器」のような、そんな感覚を持っているので、そういった意味でも「使う」というイメージは強く持って作っていますね。

 

ーー

なるほど。私はこの企画を始めて、いろいろなモノづくりに携わる方とお会いして、やはり自分の作り出したモノが、使われて本来の価値を得る、使い手さんの介在するモノが好きという考えの方が多いことに気づかされるのですが、やはり坂本さんにとっての革製品もそういうものなんですね。

 

坂本

もちろんそうだと思います。

ただ、ひとつそういうこととは違った面白いというか、不思議な話があるんです。

私がこの仕事をしだした時、先ほどもお話ししましたが結構、高価なものを取り扱っていましたので、その時にあるお客様の接客をしていて、バッグを買っていただいたんです。その翌年にぐらいにお会いした時に製品の使い勝手をお聞きすると「もったいないし、使ってない」と仰るんですね。当時そういう方がすごく多いのに驚いたんです。「えっ、もったいないから使わないんですか?」って(笑)。

それでもまた買ってくださるんです。で、「ぜひ使ってくださいね」って言うんですけど、また翌年に会っても「なかなかもったいないんで・・・」と言われるんです。

それは女性のお客様なのですが、性別とか色々な面があると思うのですが、所有していることが楽しいというか喜びであるとか、満足な方もおられて、そういう楽しみも一方ではあるんだなと感じましたね。

 

坂本

大切なモノだから使うともったいないという考え方に日本の文化を感じますが、やはり(モノのよさは)使ってみないとわからないですよ。

実際に使っていただいて、本当に良いものだと思っていただいて、そしてまた(それが動機になって)別のアイテムが欲しいな、となっていただく・・・。

そういうような広がりを作りたいなと思っているんです。

ですから、高額な商品ほどできるだけ堅いデザインにならずにカジュアルなものを作って、ということを考えています。高いものだからこそ毎日使わないともったいないですから。そういった物語といいますか、使い手さんの存在があるデザインと商品展開をしていきたいですね。

 

 

高価なものだから、よりカジュアルに、「普段使い」できる幸せを意識して。

 

ーー

なるほど。御社のホームページセカンドエフォートのバナーなどに使われてるキャッチコピー文にも、そういった高額なイメージがあるものをあえてよりカジュアルに、普段使いができるようなものに、というコンセプトが謳われていますよね。

 

坂本

そうなんです。セカンドエフォートのアイテムは、見ていただければわかるのですが、どれも割とふわっとした形状なんです。

革製品というのは「ワニ革の財布だとこういう形状」とか、メンズアイテムだとこうあるべき、とか割と概念みたいなものがあるんですね。そういうものはあってもいいとは思うんですが、ただ、そういう概念を取り払って普通に考えたら柔らかいほうが触り心地がいいし、物もたくさん入ったほうが便利だし、色のバリエーションもたくさんあるほうがいいし、高価なものなので人と同じようなものではなく柄や色にオリジナリティもあったほうがいいしといったことを考えて、先ほどのもったいないので使わないと仰られた方のような例もありますが、やっぱりもっと「使ってもらう」ということに集中したモノづくりをしようというのがセカンドエフォートのアイテムなんです。

 

ーー

確かに、また御社のホームページの話になるのですが、実際にカードを入れている写真があったり、お札を入れている写真があったりを見させていただいていると、なるほどデザインはもちろん、使いやすそうだなっていうのがよく伝わってきますね。

 

ーー

さきほどから「使ってもらって」というお言葉がでていますが、私も人から贈っていただいて御社のバッグを、少し大きめのものなんですが・・・実際に使わせていただいているんですが、本当に結構、書類とかがたくさん入るんです。そして入れやすい。そこで「使い勝手」はいいのですが、逆に機能の部分で、ここまでしっかり細かな配慮がされていると、形状の美しさとのバランスはどうなのかな?と思うのですが、私の使わせて頂いているものはかなり沢山荷物を入れてもフォルムが崩れない、シュッとしたイメージがあるんです。

これらは坂本さんのお仕事に則してお聞きすると、デザインを考案されている段階から、機能と見た目の美しさ(お洒落さ)のバランスは考えられていたりするのでしょうか?

 

坂本

これは私が20年以上、接客販売をしていて、自分で言うのも何なのですが、接客には結構自信があるんです(笑)。これに取り組んでいたというのが大きいですね。接客をしているうちに知らず知らずに顧客のニーズ、例えばお客様が女性の場合、男性には直感的にわからない女性からのニーズなどもお話の中からどんどん勉強させていただくことができて、ちょっとしたことなんですがファスナーの長さ、引く時の力の入れ具合とか、ハンドルの付け位置によって重さが変わるんですが、そういった細かなところに対する考えは、モノを作っているだけではなくて、実際にお客様に長く接して培ったものですね。

それに私どものお客様は一回だけのお付き合いではなく、たいていが何度もご利用いただくお客様なので、「使用前・使用後の感想」といいますか、そんなこともひっくるめて長年のお客様とのやりとりがモノづくりをしていて、私の場合はデザインを起こしていて大変参考になりますね。

 

ーー

それこそ、すごく使い手さんに近い「販売」という経験がモノづくりに活きたというお話ですね。

 

坂本

そうですね。そういうお声を実際に開発に役立てられるのはすごい利点かなと思います。私は技術的なものは特別なものは持っていないのですが、お客様からのニーズに応える、と、いうのはすごく勉強できたと思います。

 

ーー

それは実はモノづくりの本質ですよね。使い手さんのことを考えたモノを作るという意味においては坂本さんの場合は自然とそういうお考えができるんですね。

 

坂本

それが、だんだんとわかるようになっていきました。それはとても嬉しいことでしたね。

 

ーー

そういう要素というのは、坂本さんの場合は自然と描くデザインに出てくるのか、意識的に盛り込まれるのかどちらなんでしょう?

 

坂本

うーん。それはその時々、作るものの雰囲気にもよりますね。

(デザインに意識的に盛り込むと言えば)その都度その都度、デザインのヒントになるようなものは探していますね。外出の時とか通勤の時とかに周りの方が持っておられるモノとか、あるいはウィンドウショッピングをしている時に面白いグッズを見つけたりしたときに、まぁ、そこは皆さん同じだと思うのですが、そういったことがデザインのきっかけになりますね。

 

ーー

さきほどから「販売」という経験が、デザインに非常に役立ったというお話がありましたが、その流れで、クリエーターとは違うキャリアという意味では坂本さんは株式会社枡儀の常務でもあられるのですが、そういった役員という目線が役に立ったとかいうことはあるのでしょうか?

 

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坂本

それは商売としてはできるだけたくさん販売して、お値段のほうもできるだけ利口なかたちでご提供できたら、それはたくさんの方に手に取っていただけることになるわけで、そういう取り組みをするんですが、でもそこだけじゃないですよね。

いろいろなことを経験させてもらってわかるのは、最近は前と違って「好み」というのが人それぞれ違ってきているんですよね。だからこうして作ったものを、すべての方が気に入っていただけるわけではないんですよ。そういった多様化と、あとは今の世の中は「モノあまり時代」ですから、そういった中で今までと違ったものを求められていますので、そういうことも考えないといけないなというところでセカンドエフォートの取り組みがあるんです。

(次回につづく)

 

 

株式会社 枡儀:

〒600-8047 下京区松原通寺町西入意石不動之町695  枡儀 ラ クーオビル

tel.075-341-0245

http://www.masugi.co.jp/

 

セカンドエフォート

クロコダイル ウォレット

http://masugi.com/

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