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2018.1.13craftman’s eye

「料理の基」、おだしが形づくる日本食の豊かさ
京・東寺 うね乃 サービスマネージャー 出野さん

go baaan154号の特集は「おだし」をテーマに展開させていただいております。

その中で取材にお伺いした「京・東寺 うね乃」さまに、別途、このクラフトマンのコーナーの為に再度、取材のお時間をいただきました。

 

系列店舗にうどん屋さん、おでん屋さん(いずれも京都では行列のできる人気店)を持たれる、おだしのお店、うね乃さまにおいて、「おだし」、そしてそれが支える日本の食文化というものをどう捉えられているのか?

 

本店・サービスマネージャーをされている出野さんにお話をお伺いしました。

 

 

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ーー

まず、京都で少しでもおだしに興味を持たれている方は、うね乃さんのお名前はご存知だろうというくらい御店は有名店だと思うのですが、いつごろからおだしというものをお取り扱いされているのでしょうか。

 

出野さん(以下:敬称略)

初めは滋賀県の高島のほうで、おだしというよりも乾物を扱っておりました。

そこで扱っていたものが京都の大きな神社さんなどの御用達をいただくようになって京都で店を構えたという歴史を持っています。

当然、乾物屋としては昆布、鰹節なども扱うので、おだしへのアプローチは、まずは原料のほうから、といった流れになると言えるかもしれませんね。

 

ーー

うね乃さんといえば、お料理をされる方は、今回、本誌でも取り上げさせていただいた「じん」が有名ですが、一方、うどん屋さんとおでん屋さんも展開されていて、いわば、おだしの名店が、おだしが決め手にもなるお料理の専門店を直々に展開されているということになりますね。

 

出野

そうですね。本来、お料理屋さんなら、そのお料理屋さんなりのおだしのとり方、使い方がありますし、ご家庭でも各々のご家庭のとり方とお料理のレシピがある中で、おだしそのものに正解なんてないんですね。

ですが、商品として、そのおだしの原料を取り扱っているお店として「私たちはこうとってます!」「わたしたちはこう使ってます!」ということをお示しするのも、日本の食文化の維持に貢献できるのでは、という想いでうどん屋とおでん屋は展開しているんです。

 

ーー

それが美味しいとしてみなさん、こぞって食べに行かれるんですよね、やっぱり名店ですね。

 

出野

でも、やはり先ほど日本の食文化という言葉が出ましたが、基本はおだしはお料理の「基」となるものであって、それのみで美味しい、おいしくないが確定的に明らかになるものではないと思っています。

うちの「じん」にしても、使っていただいて、そのままを味見された方に、よく「薄い!」と言われたりするんですが、それがおだしだと思うのです。

あくまでも、そこにしょうゆやみりんなど、作ろうとするお料理に必要な調味料や材料を加えて、はじめて「このおだしのお味は・・・」ということになるんですね。

ですので、うどん屋店舗でさせていただいている味の仕立ても、おでん屋のそれも、別にだしを売っている店がやっているので、おだしが絶品だろう!といった姿勢ではないんです。

あくまで、わたしたちうね乃として、おいしいうどんのだし、おいしいおでんのだしをご提供しようと作った結果、ご支持をいただいているんです。

 

ーー

なるほど、その「基」のおだし、を、できるだけ簡単に、というコンセプトで作られた「じん」にしても、3種展開されていて、当然ですが、それぞれお味も違いますものね。

そこにお料理ごと、作られる方ごとの調味料やその他の材料の使い方、調理の仕方で多方面に広がっていきますね。

 

出野

「じん」については、本来、昆布や鰹節をいろいろと量の調節をしておだしをとるという作業を、まずは私たち、うね乃としての提案で配合したいろいろな材料で、時間がなくても簡単におだしをとって、お料理の幅を拡げていただこうというものです。

ですので、先ほどもそのままのだしでは「薄い!」と言われるという話をしましたが、決してとっただしだけ飲んで料理として完成された味になるものではありません。

いや、むしろ、後のお料理ということを考えたら、だしを含めた全材料のトータルな旨味が結集したものが料理としての完成されたおいしさなので、だしだけで「旨い!」なんてものは作ってはいないと思っています。あくまでも料理は、全材料の持ち味と、どう調理するかがトータルの調和で作り出すものですね。

 

ーー

そのために、他の食材の味も引き立てられるような仕立てになっていて、また「じん」そのものにもバリエーションを設けられているんですね

 

出野

そうですね。おだしの中でも昆布の産地や種類、鰹節の種類によっても全然違うものになりますから。現在、市販されているだしパックや素のようなものには、それだけで美味しく感じる商品もありますが、あくまでもどちらかの善し悪しの話ではなく、当店では、そういったものは作っていません。

 

ーー

今、出野マネージャーがおっしゃったことや、他の取材で、材料や料理の工程への理解なくして食文化の継承や発展はないな、といったようなお話を聞く度に、子供達へのいわゆる「食育」の大切さと方向をどういったところに据えるべきかを考えますね。

 

出野

当店でも、子供達への食育の一環としてのおだしの体験学習的な取り組みをさせていただいておりますが、いろいろと考えることがありますね。

 

ーー

これもおだしが題材の、ある取材で、「日本の食文化の底上げには、例えば子供達に、たまにグルメなものを食べるという体験をさせていたのではダメで、それより普段から家庭でおだしをとったり調理したりしたものをしっかり食べるという習慣に紐づいた食生活が必要。

それが本当の食の豊かさ」というお話になったのですが、そういう意味では、おだしといったお料理のプロセスにあるものを体験するのは非常に有意義なことですね。

 

出野

子供さんは素直ですから、学んだことを受け入れて、帰ってお母さんに体験学習で聞いたことを家で話されるので、そこでお母さんが意識を持つきっかけになって店におだしのパックを買いにいらしたというパターンも実際にあります

 

ーー

食育の話を続けると、食べ物、お料理の原料がなんなのかわからない年齢層が増えていて、たとえば麺つゆは、ああいう味のモノとして最初から存在しているもので、だしをとって、醤油を入れて、みりんを入れてという工程がイメージできない世代があるという話を伺ったんです。

その状況で、たとえば「もったいない」の精神を説いても、調理工程がわからないから、手間暇への有り難さも、食材への慈しみもわからないという。

 

出野

そのお話でいいますと、当店で扱っているものは、より食の基に近いものが多いですから、おだしの体験学習等の機会が、食のプロセスを意識し、「もったいない」が自然に理解できる土壌作りに役立っていれば嬉しいです。

 

ーー

この度の取材で、おだしそのものへのこだわりというより、おだしを使って豊かな食生活をご提案されているという姿勢がよくわかりました。

このたびは貴重なお話、ありがとうございました。

 

 

日本料理の文化的故郷であるだし。

完成された料理が絵画なら、その絵画を描くために丁寧に設えられたキャンヴァスがおだしという例え方もできます。

そのおだしの提案を通して、世界に誇る和食文化の維持と発信に繋げたい!

そういう作り手さんの強い気持ちが伝わる取材でした。

 

 

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京・東寺 うね乃

〒601-8461 南区唐橋門脇町4-3

9:00~18:00

土曜 9:00~16:00

第二土曜・日・祝休

tel.0120-821-218

http://odashi.com

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